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2月のバレンタインデイにあわせて企画したコミュニティトレード・チョコプロジェクト。第3世界ショップのフェアトレードチョコと日本の田舎、地域の素材や特産、人をかけあわせて新たな商品を開発、販売する企画です。この企画によって行われるプロジェクトでは「後継者不足」というテーマに焦点をあてることにしました。これは私たちのフェアトレードチョイコレートの原料を生産している、ドミニカ共和国のカカオ農家と、日本の農業の共通問題でした。
買うという貢献だけでなく、一歩踏み込んだ問題解決へチャレンジしようというものです。
このプロジェクトは日本とドミニカで行われていく予定です。
日本:サトウキビを刈る所から黒糖を作る
この「後継者不足」の問題には、子どもの頃に就労の機会が少ないか全くないという事が背景のひとつにあるのではと考えた地域の問題解決、コミュニティトレードに取り組む私たちは、日本では沖縄のサトウキビ刈り体験を通して子ども達に就労体験の機会を提供することにしました。
3月末、親子7組と島の子供たちが参加して、2泊3日でこのサトウキビ刈り体験等のプログラムを行いました。売上の一部をあわせ第3世界ショップ基金から284,500円が実施にあてられました。
幅広い世代が参加したプログラム
今回のプログラムの受入先は、沖縄の宮城島のみなさんです。宮城島は離島ですが、現在は本島から海中道路でつながっており、那覇空港からは車で1時間半です。宮城島人口は1000人足らずで、島の人いわく「なにもないところでしょ?」
たしかに、宮城島には観光名所らしきものはなく、沖縄本島から近いわりには全く異なる、のんびりした島の空気と気持ちのよい風、美しい天然のビーチなどが財産といえるところだと感じました。
参加親子が7組、また、ちょうど同時期に、わたしたちプレスオールターナティブの田舎グループが山口県にて立ち上げた「学生耕作隊」の沖縄版を立ち上げたいと沖縄の学生が動いており、今回のプログラムに興味を持った沖縄の大学生達8名も参加するという、親子に学生、地元・宮城島の小学生たちからおばあ達まで幅広い世代で交流するというとても貴重な機会となりました。
<キビ刈りでみんなイキイキ>
沖縄本島からの参加者も多かったため、キビ刈りや黒糖づくりなど体験者は何人かいるかと思いきや、沖縄出身者の学生達も含め、ほぼ全員がキビ刈り体験がはじめてという人ばかりで驚きました。農家の方の説明を受け、まず大学生達がキビ刈りをおぼつかない様子でスタート。
親たちは、束がとれない独特のひもの結び方を教わったのですが、農家の方があまりにも簡単に手早くやるその作業が何度みても「??」な感じで、実践しながら教えてもらったり。途中から小学生の子ども達を中心に、親が見守るなかカマを使って葉をとる作業にチャレンジ、刈り取ったキビの束を子ども達みんなで運んだりと身体を動かしました。
その間、とれたてのキビの皮を農家の方が向いてくれ、みんなで甘いキビをチューチュー吸うのが大人気!子ども達の列ができ、農家の方の皮むきが追いつかないほどでした。
大勢が一度に作業するときは、子供のカマの向きや動かし方などには注意が必要でしたが、農家の方の指導や見守りもあり、幸い誰もけがをすることもなく終えられました。
私も、初めてキビ刈りをやらせてもらいましたが、農家の方のように、狙いを定めてスパッと切り倒す力具合、いろいろな方向にはえているキビをどの向きに倒すと一番楽に倒せるのか、自分の身体のポジションをどこに置くのかなどが難しく、「こっちからやったほうがいいよ」と教えてもらいながらやりました。
実はこのキビ刈り作業、おもしろいだけでなく、農作業を普段していない大人はもちろん、子供のうちにやっておくと、自分で考え行動することのよいトレーニングになると思いました。なぜなら、前述したように自分の頭や感覚を使って瞬時にいろいろなことを判断し行い、その結果、間違えば怪我もしかねず自分で責任をとることになるからです。
これは、まさにいま必要とされている生き方につながると感じます。例えば今回の原発事故では様々な情報が出回り何を信じていいのか、多くの混乱がありました。結局は自分で判断するしかありません。すでに世界のパラダイムシフトは始まっており、これまでの社会の前提条件も変わってしまいました。そうしてひとりひとりが自分で生き抜かなければならない時代となりました。まさに今ひとりひとりが自分で理解し、判断し、行動することが必要ですが、就労体験はこの部分にもプラスの影響があると感じました。
<子どもの生きる力>
今回のプログラムで大変印象的だったのが、子どものエネルギーの高さです。数少ない島の子ども達と参加者の子ども達があっという間に仲良くなり、さらにそこへ学生達が加わり、休憩時間や作業にあきると、あっという間に子ども達がそこらを駆け回り、ひたすら遊んでまわります。
宮城島ビーチでたくさんのゴミ拾いをしたあと、貝殻やビーチガラスを拾って貝殻細工をつくったときは、すごい集中力と想像力を発揮して、大人がうなるような素敵な作品がたくさん生まれました。
興味を持ったことや大好きなことをやっているときのその情熱や集中力、高いエネルギー、それが本来、人間がもっている力だと思います。親の期待を押し付けたり、世間の常識といわれるものを振りかざしてその子どもの力を奪わない事、そして、なによりも、親が先回りして、子どもの体験の機会、子ども自身が自分で学ぶ機会を奪わないこと、すなわち子どもの力を信頼することが大事だと感じました。
<次の世代へ繋げていく>
刈り取ったキビは、3日目の最終日に宮城島の人たちの指導で黒糖づくりに使われました。沖縄では黒糖はもう離島でしか製造されていないと聞きましたが、この宮城島でもかつては製糖工場があったそうです。宮城島の人たちもめったに黒糖づくりはしないようで、今回私たちがお願いしたことにより、宮城島の小学生達も一緒に体験でき、また近所のおばあ達にできた黒糖をお裾分けしたら、みな、「懐かしい!」と大喜びだったそうです。
キビ刈りや黒糖づくりなど、中心になって指導してくださったのは、宮城島のおじい、おばあ、そしてその息子娘世代の50代以上の方々で、それより下の世代や若い世代がこうした技術を受け継がないと、近いうちこうしたことができる人たちがいなくなって途絶えてしまうのではないかと感じました。
まさに後継者不足といえます。宮城島の小学校統廃合の問題もありますが、今回のプログラムを受入れたことで、宮城島のみなさんも手応えを感じられたようで、今後、こうした体験プログラムを日帰りなどでも組み、島のファンをつくり将来的に移住者を増やしたい。宮城島の黒糖製造事業を復活させたいというお話がありました。
宮城島の人によると小学校は地域文化継承の大切な場としても機能していたようですが、その場がなくなるかもしれない中、こうした新たなプログラムが宮城島の文化継承や黒糖製造といった技術の伝承など島の事業再興の一端を担う可能性もみえてきました。今後はこうして少しずつでも宮城島でつくられた黒糖の有効活用や将来的な販売、商品開発などを視野に、私たちも黒糖製造の後継創業に向けた応援を続けていきたいと考えています。
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