全国キャラバンスタート
月刊Press Alternative1997年6月号
スタッフ物語より抜粋
■宿泊費0円 テント片手に全国へ
ショップを持たない私たちが、第3世界ショップを一人でも多くの人に知ってもらおうと企画したのが全国キャラバン。スタッフの田中・辻の2人が1ヶ月をかけて全国を回ることにした。もちろん宿泊費はゼロ、テント片手にクーラーもない車で真夏の中、声をかけてくれたフリーマーケットなどを主催するグループを回ることにした。
全国キャラバンをします-その呼びかけに、あっという間に1ヶ月のスケジュールが埋まるほど声がかかった。また、世の中には親切な方がいて、そんなボロ車じゃ危ないから、自分の車を使って下さいと、新車ではないかと思える車を提供して頂いた。この車を提供頂いた方は、いまもなお、コーヒーを毎月定期的にご注文頂くお客様でもある。キャラバンで回った先の名簿を見直してみると、何と70%の方と今もなお関係が続いている。
このキャラバンは、86年8月9日にスタートした。この日も忘れられない日である。スタートに際し、初めて第3世界ショップが外で物を売る日である。
真夏のこの日に2ヶ所からバザーの声がかかっていた。1台の車は佐倉市へ、私は辻と一緒に、朝早く筑波へ向かった。このバザーが終わった後、田中・辻の長期キャラバンが始まることを考え、私が運転をすることにした。前日、夜遅く迄仕事をしていたらしい辻は、車に乗ると同時にグーグー寝始めた。しかし、筑波の訪問先を知っているのは彼、聞いてもいいかげんな返事ばかりで埒があかない。これが第3世界ショップのスタートと意気込んで出てきた私は、先が心配になり始めた。
それでも何とか無事会場に到着。会場は大きな公園。真夏の、しかも一番暑い時間で、日陰も無い。ア....全く先が思いやられるとおもいつつ、途上国の人たちが作った手作り品を心を込めて売らなければと思い直し声をかけ始めた。しかし、この会場はリサイクル専門のフリーマーケット、「0がひとつ多いんじゃない」という声にまた落胆、思いも寄らぬそんなスタートとなったが、辻は田中と合流し、2人のキャラバンはスタート。その無事を祈りながら私は東京へ戻った。
あだち ゆきこ