プルーン生産者

プルーン生産者

アメリカ カリフォルニア州で、オーガニックのプルーンを作るリックさん。150年以上続く果樹園の5代目で、環境に配慮した取り組みをしたいという想いで有機栽培をはじめました。現在では6代目となる子供たちを中心に、プルーンの栽培から加工・販売まで一貫して行っています。

プルーン生産者紹介

有機栽培で大切に育てられたプラムの果実。紫色で果肉がぷっくりしています。乾燥させるとプルーンに。

有機栽培の取り組み

リックさんが家業を継いだ1992年当時は慣行栽培のみでしたが、お客様のニーズや、環境に配慮した取り組みに力を入れていきたいという想いのもと、2000年代に有機栽培を始め、2010年代には徐々に有機品の作付面積を増やしていきました。現在では、有機プルーンの収穫量は、当初から10倍近くに増えています。有機栽培では、土壌への養分の供給や水分を保つことなどを目的に栽培する「カバークロップ」と呼ばれる作物を、収穫する作物の足元に植えます。

春になるとプラムの木は桜に似た白い花を咲かせます。足元に植えられたカバークロップは、この時期には高さ1メートルくらいまで生い茂りもしゃもしゃに。中に踏み込んでいくのも大変です。

有機プルーンはこのカバークロップがあることで、農作物の生育に必要な水を供給する“灌漑(かんがい)”による水やりの際、慣行品よりもおだやかに水分が吸収されるため、糖度の高い、甘くておいしいプルーンになると生産者は言います。有機栽培で苦労することは、作物に影響が出てしまう前に雑草や虫をコントロールすること。駆除の一端は、 害虫を食べて農作物を守る“益虫”のカマキリが役割を担ってくれています。

プルーン生産者紹介

プラムの収穫風景。大きなトレイの付いた機械(右)で木の幹を揺さぶって、トレイに果実を落として収穫します。収穫した果実は、ベルトコンベアの付いた機械(左)に移動してかごに集めていきます。

収穫から種抜き

プルーンはプラムを乾燥させたもので、8月中旬~9月中旬にかけて収穫し、乾燥機の熱風で乾かします。乾燥後は蒸気で実を洗浄し柔らかくしてから、機械で種抜きを行います。その後、人の手によるに目視選別、機械による識別等で、種が取りきれていないプルーンをチェックしていきます。ここで除去されたプルーンの果肉と種は、家畜飼料や燃焼エネルギーに再利用し無駄をなくしています。

プルーン生産者紹介

収穫して水洗いした後、水分値が16~18%になるまで約18時間かけて乾燥させた「ナチュラルコンディション」と呼ばれるプルーン。

第3世界ショップのプルーンは種を抜いているので、ヨーグルトに入れるのも、おやつにも、そのまま手軽に食べられますが、種が残ってないかの確認作業がものすごく大変なのです!レーザー識別機によるチェックをはじめ、人の手と目を使ったチェックなど、幾重にもなる厳重なチェック作業を繰り返し行います。食べやすい「種なしプルーン」を作り上げる生産者たちの努力は、コラムで詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

コラム:プルーンの種抜き、大変です! >

プルーン生産者紹介

再生エネルギーの取り組みの1つとして加工所に設置されたソーラーパネル

新たな挑戦

リックさんの子どもたちは、先代たちの想いをつむぎながら、時代に応じた新しいことにチャレンジしています。たとえば、再生エネルギーの取り組みの1つとして、2016年にソーラーパネルを導入しました。このソーラーパネルで、加工所で使用する電力のおよそ9割をまかなうことができています。

プルーン生産者紹介

水質汚染の原因を取り除くための廃水処理施設

また、水質汚染の原因の1つ、有機物をより多く除去することができる廃水処理施設を導入しました。処理工程で発生する有機物は肥料として再利用し、実質的にごみが発生しない“ゼロ・ウェイストの仕組みを作るなど、サスティナブルな取り組みも行っています。

プルーン生産者紹介

5代目リックさん(右)と6代目の子供たち

家族と一緒にいられる幸せ

5代目リックさんは御年70代半ば。プルーンのグレービーソースを添えたポーク料理が好きで、会社の切り盛りのかたわら、孫の子守もこなす小柄で元気なおじいさんです。プルーン栽培と家族の絆を大切にするリックさんは、子供たちの挑戦を見守り・応援しており、生まれ育ったこの地で、子どもたちと一緒に働けることに喜びを感じています。

仕事をしていて幸せに感じることは「家族と一緒にいられること」で、いつの日か孫とも一緒に働ける日がくることも願っているそうです。事業は6代目の子どもたちに継承されつつありますが、家族に囲まれて多くの時間を過ごしたいので、引き続きプルーン家業に携わっていきたいと、やさしく穏やかな表情で語ってくれます。

有機栽培により糖度が高く、甘くておいしいリックさんのプルーン

これまでの長い歴史を受け継ぎながら、新しい歴史を刻んでいく生産者一家。ますます魅力のあるプルーンが届くことに期待したいです。

<リックさんから日本のお客様へメッセージ>

「我々のプルーンを食べて喜んでいただけたとき、やりがいを感じます。プルーンは食物繊維が豊富でお腹の調子を整えてくれるなど、みなさんの健康に役立ちます。ぜひプルーンを食べて、よい栄養をとってください。とりわけ有機栽培のプルーンは自然なもので身体に良いですよ。」